質量作用の法則と平衡定数

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8-25-2017 updated

  1. 概要: 質量作用の法則とは
    • 濃度平衡定数
    • 圧平衡定数
    • 平衡定数の単位

  2. ルシャトリエの原理
    • 温度の変化
    • 圧力の変化
    • 濃度の変化

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概要: 質量作用の法則とは

化学反応 aA + bB + ... ⇌ cC + dD + ... が平衡 equilibrium に達したとき,各成分の濃度の比 K


温度と圧力だけの関数となる。ただし [A] は A のモル濃度を示す。

K が温度と圧力のみの関数になることを 質量作用の法則 law of mass reaction という (1)。K は 平衡定数 equilibrium constant と呼ばれる。平衡定数は温度と圧力のみの関数であるから,定温・低圧では一定の値をとる。

以下,このページは高校の化学または大学の生化学で必要な範囲で平衡定数について解説する。大学の化学なら,もう少し上のレベルが必要になる。


濃度平衡定数,解離定数

この法則は溶液中の化学平衡に対してよく用いられ,この場合には K は 濃度平衡定数 Kc と表現される。溶液中なので圧力は一定とみなすことができる。したがって,温度が変わらない限り平衡定数は不変である。感覚的に納得いかないかもしれないが,反応に関わる物質を加えたりしても,平衡定数は変わらないのである。この点については,ページ下方の「ルシャトリエの原理」で触れる。

化学反応が可逆的な分解,すなわち解離 dissociation の場合には,K は解離定数 dissociation constant と呼ばれる。

以下の一連のページは,酸・塩基についての理解を深めるのに有用である。体系的に学びたい人は,以下の順に読むことをお勧めする。

  1. 質量作用の法則と平衡定数 (このページ)
  2. 酸・塩基の定義
  3. 水のイオン積と pH
  4. 解離定数
  5. 緩衝液 buffer について

圧平衡定数

考える可逆反応が気体の場合,平衡定数は 圧平衡定数 KP と表現される。この場合,[A] は気体 A の分圧を示すことになる。


平衡定数の単位

平衡定数は,本来は熱力学分野で提唱された値で,濃度ではなく活量,圧力ではなくフガシティという値を使って記述される無次元の数であるらしい (2)。

しかし,これらは低濃度あるいは低圧力下では mol/L, atm と一致するように定義されている。したがって,濃度や圧力を近似値として用いることができ,この場合単位が残ることになる。

実際に,酸・塩基の定義と pH のページでは イラストレイテッド ハーパー・生化学 30版 に沿って水の解離の平衡定数 (解離定数) を導いているが,この教科書にはしっかりと mol/L という単位が記載されている。



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ルシャトリエの原理

化学平衡状態にある系の温度や圧力などを変化させると,系は新しい平衡状態へ向かって変化する。この平衡状態の 移動の方向 を示すのが ルシャトリエの原理 Le Chatelier's principle である。この法則は,以下のように表現することができる。

平衡にある系の熱力学変数の一つに変化を与えると,その変化により生ずる影響をなるべく小さくする方向に平衡の移動が起こる (3)。


温度,圧力および濃度について,具体例で考えてみる。アップデート予定。


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References

  1. Amazon link: 岩波 理化学辞典 第5版: 使っているのは 4 版ですが 5 版を紹介しています。
  2. 平衡定数の単位について. Link.
  3. 平尾, 加藤 1988a. 化学の基礎 分子論的アプローチ