ラット: Rattus norvegicus

organism/Mammalia/rattus_norvegious
3-18-2017 updated

  1. 概要: Rat
  2. Physiology
  3. 発生と成長
  4. 実験動物としてのラットの系統

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概要: Rat

ラット Rattus norvegicus (GenBank common name は Norway rat) は、16 世紀ごろから生物学実験に使われるようになった齧歯類 rodent である (5)。

実験用の系統が確立されたのは 1906 年の Wister が最初で (5), その後 Sprague-Dawley, Buffalo などの系統が作られているほか、PC12 (神経細胞)、FRTL (甲状腺細胞) などの細胞株もこの種に由来する。



  • 年間で消費される実験動物の数は、15 million in US, 11 million in Europe, 5 million in Japan で、その 8 割が齧歯類である。
  • Medline articles の 85% が、マウスまたはラットを使っている。

Pubmed Taxonomy (2015)

cellular organisms; Eukaryota; Opisthokonta; Metazoa; Eumetazoa; Bilateria; Deuterostomia; Chordata; Craniata; Vertebrata; Gnathostomata; Teleostomi; Euteleostomi; Sarcopterygii; Dipnotetrapodomorpha; Tetrapoda; Amniota; Mammalia; Theria; Eutheria; Boreoeutheria; Euarchontoglires; Glires; Rodentia; Sciurognathi; Muroidea; Muridae; Murinae; Rattus


Physiology

血液

ラットの血液量は 58 - 70 ml/kg とされており、その中央値 64 ml/kg が推奨平均値である (2)。血液関係のパラメーターは以下のようになっている。なお、マウスでは 63 - 80 ml/kg であり、体重あたりで考えるとマウスの方が血液量が多い。

心拍数 heart rate 250 - 450 times/min
血圧 blood pressure 80 - 100 mmHg
体温 body temperature 約 37 ℃
血液のパラメーター pCO2: 32 - 36 mmHg
pO2: 110 - 120 mmHg


発生と成長

ラットのライフイベントは、概ね以下の通りである (5)。なお、表中の P は postnatal day で、出生後の時間 (日) を示す。詳細は ラットとヒトの年齢の換算 のページに記載。

イベント オス メス
固形の食べ物を消化できるようになる P18 P18
母乳を飲む時間が減り始める P20 P20
離乳 weaning の時期 (平均)。P34 までには離乳完了。 P21 P21
性成熟、生殖細胞が完成 (思春期 puberty) P45-48, ときに P76
balanopreputial separation が指標
P32-34
vaginal opening が指標
青春期 adolescence Starts by P63 Starts by P63
繁殖終了 reproductive senescence 15 - 20 ヶ月

ヒトの年齢との換算

全体的に、ラットは性成熟に要する期間が約 6 週間とがヒトよりも相対的に早く、社会的な成熟は 5-6 ヶ月齢と遅いため、年齢を線形的に対応づけるのは不可能である (5)。

  • 40 日より若いラットは、海馬が未成熟なため spatial navigation deficits を示す (3)。

実験動物としてのラットの系統


系統 説明
Long-Evans

頭の良い系統で、行動試験などはこのラットを使って行われることが多い。モリス水迷路 Morris water maze での成績が基本的に良い (1)。

Sprague-Dawley

Dawley によって1925 年に作られた系統 (4)。オリジナルの系統は一旦 close され、その後作られたストックが現在も使われている。

文献 4 には、寿命 が約 25 ヶ月であることなど様々な特徴が記載されているが、「Long-Evans よりも trimetyltin に対する抵抗性が高い」など、非常に細かいものばかりで、「このような特徴がある系統」というイメージが掴めない。逆に言えば、それだけ特徴のない strain なのかもしれない。

Wister

Dawley によって1925 年に作られた系統 (4)。オリジナルの系統は一旦 close され、その後作られたストックが現在も使われている。

Wister-Kyoto rats

Stress hyperreactive strain (1). モリス水迷路で、Sprague-Dawley よりも floating の時間が長い。

Tokai high avoider (THA)

Sidman active avoidance learning での高スコアを指標に選抜された系統 (1)。


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References

  1. D'Hooge R & De Deyn PP. 2001a (Review). Applications of the Morris water maze in the study of learning and memory. Brain Res Rev 36, 60-90.
  2. 実験動物の循環血液量. Web pdf file.
  3. Chambers et al. 1996a. Cognitive effects of neonatal hippocampal lesions in a rat model of schizophrenia. Neuropsychopharmacology 15, 587-594.
  4. Harlan Laboratories. Sprague Dawley.
  5. Sengupta 2013a (Review). The laboratory rat: relating its age with human's. Int J Prev Med, 4, 624-630.