葉緑体の概要

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4-13-2017 updated

  1. 概要: 葉緑体とは
  2. 光合成

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概要: 葉緑体とは

葉緑体 chloroplast は、以下のような構造 (2) をもつ細胞内小器官 organelle である。


大きさは約 5 µm であり、二重膜 (outer/inner membrane) に包まれている (1)。内膜の内側は ストローマ stroma と呼ばれ、光合成が進行する場所である。


> Stroma 内には thylakoidʌiləkɔid] という袋状の構造がある。 (1)。
  • Thylakoid が折り重なったものを granum (複数形 grana) という。
    : Granum 同士は、stromal laminae という構造で繋がっている。
  • Thylakoid 内のスペースを thylakoid space という。葉緑体は合計で 3 つのスペースをもっている。
  • 光合成における酸化還元反応 (電子の伝達) は thylakoid membrane 上で進行する

> 葉緑体膜は、動物細胞膜と脂質の組成が大きく異なる (1)。
  • 約 40% が galactolipids, 4% sulfolipids で、リン脂質はわずか 10% である。

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光合成

植物の光合成

光合成反応は、以下の点で 酸化的リン酸化 に似ている (1; リンクはミトコンドリアの電子伝達系のページへ)。

  • どちらも、高エネルギーの電子が順に受け渡され、プロトンの濃度勾配を生じる。
  • プロトン濃度勾配によって ATP synthaes が駆動する。
  • ただし、光合成の場合、電子は直接 NADP+ を NADPH に還元する。

違っているのは、酸化的リン酸化では栄養素の酸化 (解糖や TCA 回路) によって高エネルギーの電子を得る、すなわち NADH や FADH2 を得るのに対し、光合成では 光のエネルギー が使われる点である (1)。

植物の光合成は、以下のように分類して理解すると良い (1)。Photosystem I, II は thylakoid membrane に結合した複合体である。Photosystem I, II 内での電子の受け渡し、また I から II への電子の受け渡しに伴ってプロトンの濃度勾配が作られる (図は文献 3 より)。


Photosystem I

波長 700 nm 以下の光を使い、NADPH を作り出す。

Photosystem II

こっちの方が photosystem I よりも上流である。波長 680 nm 以下の光を使い、水の電子をプラストキノン plastoquinone, Q に移す。プロトンも同時に移され、副産物として酸素が発生し、Q は QH2 となる。

QH2 のエネルギー準位は水よりも高い。つまり、ここが光エネルギーを使った uphill reaction である。

電子は cytochrome bf を介して photosystem I に移される。このタンパクはミトコンドリア電子伝達系の complex III に相同で、QH2 を使って proton gradient を作り出す。

Dark reaction =
Calvin cycle

NADPH や ATP を用いてを還元し、その他の有機物を作り出す。



バクテリアの光合成

Berg Biochemistry の内容を簡単に。

  1. 光エネルギーを受容する reaction center, P960 に光が当たり、電子が励起される。
  2. 電子は bacteriochlorophyll (BChl), Bacteriopheophytin (Bph), quinine (QA), quinone (QB) の順に受け渡される。Charge separation である。
  3. QB は膜の近傍にあるので、電子を受け取った QB は細胞質からプロトンを引き込み QH2 となる。その結果、プロトンの濃度勾配が生じる。
  4. QH2 は膜の中の quinone pool へと移行する。
  5. QH2 の電子は、complex bc1 によって cytochrome c2 に移される。このタンパク質はペリプラズム periplasmic space に局在する。
  6. Cytochrome c2 のプロトンは、reaction center の cytochrome subunit に移される。これで系全体が初期状態に戻る。

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References

  1. Amazon link: ストライヤー生化学: 使っているのは英語の 6 版ですが、日本語の 7 版を紹介しています。参考書のページ にレビューがあります。
  2. By Kelvinsong - Own work, CC BY-SA 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=26147364
  3. By Somepics - Own work, CC BY-SA 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=38088695

参考書