硝酸塩 nitrate: 構造、生物への影響など
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概要: 硝酸塩 nitrate とは
硝酸塩 nitrate とは、硝酸イオン NO3- をもつ塩の総称である。硝酸ナトリウム (sodium nitrate, NaNO3) や硝酸カリウム (potassium nitrate, KNO3) などが一般的にみられる硝酸塩であるが、これらは生体内で解離して NO3- となるため、生体への影響を考える際には「硝酸塩」としてまとめて扱われることが多い。
なお、英語の nitrate には硝酸イオン、硝酸塩、硝酸エステルが全て含まれるので、非常にややこしい。日本語と英語が 1 : 1 で対応していないことに注意。
また、nitrite は亜硝酸塩 (NO2-)、亜硝酸イオン、亜硝酸エステルを示す英語である。これも混乱しやすいので注意する。
硝酸イオンの構造
硝酸イオンは、以下のような構造をもっている (Public domain)。
N = O の二重結合は、以下のように共役している。
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水槽の水質
水槽で魚を飼っている場合、硝酸イオン濃度は水質の重要なパラメーターの一つである。魚は、窒素代謝の最終産物として アンモニア を水中に放出する。フンとして排出されるもののほかに、エラからも水中に直接放出される。
これがアンモニア態窒素であり、NH3 と NH4+ が含まれる。
これらの分子は、バクテリアの作用によって亜硝酸または硝酸になる。この反応は、以下のように進む。つまり、水中に酸素が十分にないとアンモニアの分解は進まない。
- NH4+ + 3/2 O2 → NO2- + H2O
- NO2- + 1/2 O2 → NO3-
NO2- は中間産物であり、硝酸濃度が高かったり (NO3- に変換される量が低下する)、溶存酸素濃度が高かったり (アンモニアの分解が増える) すると、濃度の上昇がみられる (2)。
脱窒バクテリア denitrifying bacteria がいれば、さらに硝酸を窒素 N2 にまで還元することができる。この場合、炭素が電子受容体として使われるため、水中に炭素源があることが必要である。脱窒反応が効率よく起こっていれば水質は良く保たれるが、脱窒バクテリアの種類は限られており、そのような環境を作るのは難しい。
主な脱窒バクテリアは、Actinomyces, Bacteroides, Firmicutes, Proteobacteria など。
文献 1 に「アンモニア態窒素は物理ろ過等の過程で硝化され、亜硝酸態窒素を経て無毒の硝酸態窒素となって水槽内に蓄積される」という記述があるのだが、硝酸態窒素は無毒なのか?
References
吉田ら、2023a. キンギョCarassius auratusを用いた観賞魚を健全に飼育できる最大許容密度の推定. Nippon Suisan Gakkaishi 89, 65-67.
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