重水素: NMR の溶媒に添加したりする水素の同位体

reagent/d/deuterium_oxide
2017/12/14 更新

  1. 概要: D2O とは
  2. NMR 溶媒としての酸化重水素

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概要: 重水素とは

水素原子は通常 1 個のプロトンをもつが,これに 1 つ中性子が加わり原子量 atomic weight が 2 になった同位体を重水素 deuterium といい,2H または D と表す。元素記号をもつ同位体は,この重水素とトリチウム 3H (T) のみである (1)。

2H2O, または D2O のことを酸化重水素 deuterium oxide という。重水 heavy water は H2O よりも重い原子から構成された水分子のことで,3H2O や H218O なども厳密には含まれるが,D2O のことを指す場合が多い。

一般に,同位体の化学的性質は同じであるが,原子量の小さい水素の場合は中性子の存在が大きく影響し,D2O は H2O と異なる性質をもっている。


NMR 溶媒としての酸化重水素

D は H と異なり磁性核 magnetic nucleus ではないため,核磁気共鳴 NMR のシグナルを与えない。このために,プロトン NMR の溶媒としてよく用いられる。

水を電気分解すると,軽水素が先に反応し,重水素を選択的に濃縮することができる (1)。重水は現在この方法で生産されている。


発見の歴史

重水素は,ハロルド・ユーリー Harold Urey によって 1932 年に発見された (1)。わずか 2 年後の1934 年に,ユーリーはこの業績によりノーベル化学賞を受賞している。


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References

  1. 佐藤 2013a (Review). 化学よもやま話 重水素. TCI メール No. 156.