腎臓で水の再吸収を促進するペプチドホルモン
バソプレッシン: 構造、機能など
UBC/protein_gene/v/vasopressin
このページの最終更新日: 2024/02/14- 概要: バソプレッシンとは
- バソプレッシン受容体
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概要: バソプレッシンとは
バソプレッシン vasopressin は、哺乳類の 下垂体 後葉から分泌される ホルモン である。ペプチドホルモンで、ほとんどの 哺乳類では、以下の 9 個のアミノ酸からなる
Cys-Tyr-Phe-Gln-Asn-Cys-Pro-Arg-Gly-NH2
バソプレッシンには、主に以下の 2 つの機能がある。
水の再吸収 |
腎臓 kidney の 遠位尿細管 distal tubules において水の再吸収を促進する (1)。この作用によって尿を濃縮することが可能になっている。 |
血管収縮、血圧上昇 |
血管を収縮させる作用がある。バソプレッシンという名前は、管 (vaso) を圧縮 (press) するこの作用に由来する。 |
オキシトシン と構造的に類似しており、スーパーファミリーを形成する。原則として、バソプレッシンは上記のように体液の管理を行い、オキシトシンは子宮収縮や乳汁分泌などの生殖機能を制御する。
尿崩症 diabetes insipidus の患者はバソプレッシンの量が少なく、大量に薄い尿を排出しなければならない (1)。合成バソプレッシン 1-desamino-8-D-arginine vasopressin が対処薬として使われている。
バソプレッシン受容体
> イモガイ cone snail から 2 種の conopressin を同定した論文 (2)。
- Conopressin は、バソプレッシンやオキシトシンに構造の類似したペプチド。
- Cone snail peptide: 1 つが FDA に鎮痛薬として承認されている。いくつかは臨床試験中。
- ジスルフィド結合の数で、disulfide-poor (1 or 0) と -rich (2 or more) に分類される。
- Disufide-poor は通常マイナー成分であるが、contulakins, rho-conopeptides などは GPCR を標的にする興味深い毒。
- Vasopressin, oxytosin に構造が類似。最初に単離されたペプチド conopressin は GPCR に結合。
- この論文では、Conus miliaris というカタツムリのトランスクリプトームから 2 つの conopressin を発見し、性状を解析している。
- 10 残基以下のペプチド。化学合成し、HPLC で folding を確認したのち、NMR で構造解析。
- ヒトおよびゼブラフィッシュのレセプターを使って binding assay を行っている。
V1a receptor |
V1aR および V1bR はいずれも PLC と couple しているが、異なる生理作用をもつ (2I)。V1aR は血圧と血管収縮 vasoconstriction を制御。 |
V1b receptor |
V1bR は脳下垂体からの corticotrophin 放出を制御する (2I)。 |
V2 receptor |
V2R はアデニリルシクラーゼを活性化する。 |
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References
- Amazon link: ストライヤー生化学: 使っているのは英語の 6 版ですが、日本語の 7 版を紹介しています。参考書のページ にレビューがあります。
Giribaldi et al. 2020a. Synthesis, pharmacological and structural characterization of novel conopressins from Conus miliaris. Mar Drugs 18, 150, 2020.
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