遺伝的浮動 Genetic drift: 定義、実例、影響など
- 概要: 遺伝的浮動とは
- 創始者効果: Founder effect
ボトルネック効果は独自のページに移しました。
- ボトルネック効果: Bottleneck effect
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概要: 遺伝的浮動とは
遺伝的浮動 genetic drift とは、
- The random change in the frequency of alleles in a population over successive generations due to sampling error in the gametes (1).
- Change in allelic frequency due to sampling error (2).
- Genetic drift is the change in allele frequency in a population by chance (4).
噛み砕いて言うと、偶然によってある allele が集団に生き残ったり、集団から取り除かれたりすることをいう。例えば、ある遺伝子型をもつ個体が子孫を残すのに有利な形質 (ストレスに強い、子供をたくさん産めるなど) を持っているとして、その遺伝子が徐々に集団内で増えていくのが
しかし、そのような個体でも車に轢かれたりして死んでしまうことがあり、優れた遺伝子が必ずしも生き残るわけではない。このような偶然による allele の選択が genetic drift である (図は Public domain)。
集団遺伝学関係の用語集 のページにアリル allele, アリル頻度 allele frequency などの定義があるので、そちらも参照のこと。なお、Hardy-Weinberg の法則 は遺伝的浮動の影響がない場合に成り立つ法則である。
遺伝的浮動の特徴
遺伝的浮動は、以下のような特徴をもつ。
- 集団が小さいほど影響が大きい (1)。
- 遺伝的浮動によって、ある allele が偶然に集団に固定されたり、集団から除去されたりする (1)。
創始者効果: Founder effect
Oxford Dictionary of Biology (Amazon link) では次のように定義されている。
"The phenomenon occurring when a population is founded by a small sample of the entire species, perhaps just a handful of individuals. Chance dictates that these founder members will be genetically unrepresentative of the species as a whole, and that the genetic make-up of the new population will differ markedly from the main species population."
もとの集団の一部が新しい集団を作ると、遺伝子の頻度 (赤と青) に偏りが生じる (Public domain)。
創始者効果は、
もし、その個体が「新しい環境に出ていく傾向がある」「環境変化に対して強い」などの遺伝的要因をもっていれば、それは自然選択の結果として (偶然ではなく) 創始者になるわけで、その区別は難しいのではないかと思う。
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References
- Amazon link:
Hine (2015). Oxford Dictionary of Biology. - Amazon link: Pierce 2016. Genetics: A Conceptual Approach: 使っているのは 5 版ですが、6 版を紹介しています。
- Amazon の紹介:
江島 (2009). これだけは知っておきたい図解ジェネティクス.
遺伝学 genetics は、メンデル遺伝から膨大な量の DNA 配列の解析までを含む「古くて新しい学問」である。 この本は、遺伝学の重要ポイントを 60 の質問にまとめ、それに答える形で解説している。高度なコンセプトも非常にわかりやすく解説されている
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- WANI Dictionary, Genetic drift. Link: Last access 2023/01/26.
- By TedE, CC BY-SA 3.0, Link