ラジカル反応: 連鎖的に起こる電子の引き抜き反応

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2018/03/11 更新

  1. 概要: ラジカル反応とは
  2. ラジカル反応の具体例
    • 燃焼
    • リグニン分解

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概要: ラジカル反応とは

右の図は、酸素分子の電子の配置を示したものである。それぞれの原子は、最外殻に 7 個の電子をもつが、そのうち 2 個はペアになっていない不対電子である。このような 不対電子をもつ物質をラジカル radical という (1)。



ラジカルは、他の物質から電子を引き抜いて、不対電子のない安定な物質に変化する性質がある。すると、電子を引き抜かれた物質もラジカルとなり、この反応が連鎖的に進む。このような反応を ラジカル反応 という。

ラジカル反応の具体例

燃焼

ものが炎を出して燃える「燃焼反応」も、酸素ラジカルによる連鎖的なラジカル反応である (1)。


リグニン分解

リグニン lignin は木材の 20-30% を占める成分で、芳香環をもつ構成要素が ランダムに 重合した構造をもつ。そのため、特定の構造を認識する 酵素 による分解が難しい。

バクテリア、菌類などによるリグニン分解は、リグニン分解酵素が作り出すフリーラジカルが、リグニンの C-C 結合を切断することで進行する (3I)。


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References

  1. 小城 2002a (Book). 生命にとって酸素とは何か. 講談社ブルーバックス.
  2. Amazon link: 小宮山、長棟 1997a (Book). 生命化学概論. 丸善株式会社.
  3. Levasseur et al. 2008a. FOLy: An integrated database for the classification and functional annotation of fungal oxidoreductases potentially involved in the degradation of lignin and related aromatic compounds. Fungal Genet Biol 45, 638–645.