最も軽い元素 ヘリウム: 性状、使われ方、値段など

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このページの最終更新日: 2024/02/14

  1. 概要: ヘリウムとは
  2. ヘリウムの取り扱い
    • デュアー (液体)
    • シリンダー (気体)

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概要: ヘリウムとは

ヘリウム helium は、原子番号 2 の元素である。陽子 2 個、中性子 2 個および電子 2 個から成る。最外殻電子が 2 個の 希ガス であり、化学的に極めて安定な原子である。

英語での発音は [hiːliəm]。「ヘリウム」でなく「ヒーリウム」に近いので注意。

周期表

ヘリウムの主な特徴・用途は以下の通り。

  • 液体ヘリウムは約 4 K (-269°C) という極低温の液体で、さまざまな機器を冷却する冷媒として用いられる。

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ヘリウムの取り扱い

NMR や MRI では、冷却のため定期的なヘリウムの補充が必要となる。この際の注意点などをまとめておく。


デュアー (液体)

液体ヘリウムは、液体窒素 に比べて非常に高価である。もちろん会社によって違うだろうが、私の知っている価格では 2000 円/L 程度。液体窒素の数倍以上はすることになる。

液体ヘリウムは、常温では気化し続けるので、特殊なデュアー dewar に入れられており、少なくとも 4 つのバルブがある。

液体ヘリウムのデュアー

上部のメインバルブ

大量に液体ヘリウムを汲み出すための太いバルブ。もちろん、ここを開けるとヘリウムは勢いよく蒸発する。開ける前に、ガス抜きバルブでタンク内の圧力を下げておかねばならない。

ガス抜きバルブ 1

メインバルブを開ける前に、ここを開けてタンク内の圧を下げる。ゲージがついていて、タンク内の圧力が表示されるようになっている。

上の写真では、バルブと 90° 方向にゲージがついている。

ガス抜きバルブ 2

常に一定量のヘリウムガスが外に出るようになっている。ここは 常に開 でなければならない。閉まっているとタンク内の圧が上昇し、やがては次の「安全バルブ」が吹っ飛ぶことになる。知らない人が閉めてしまったりするので、ヘリウムのデュアーを見たら圧をチェックする習慣をつけよう。

上の写真では、常に開であるようにテープで固定されている。良心的な業者だと、こういう安全策をとってくれる。

拡大図が以下。

バルブの先端に、黒いゴムのようなものがついている。ここを引っ張ると、少しだけヘリウムが漏れ出してくる。非常にゆっくりと、少しずつヘリウムを排出するように設計されている。

安全バルブ

タンク内の圧力が一定の値を超えると、ここの安全弁が外れるようになっている。


シリンダー (気体)

手元の記録では、50 L のシリンダーが 1 万円程度。レギュレーターのページ も参照のこと。

液体ヘリウムのラムダ転移

液体ヘリウムは、2.17 K 以下では熱伝導性が非常に大きい「超流動相」という状態をとる。この状態では、液体中の熱はすみやかに液面まで運ばれ、気化は液体の自由表面でのみ起こる。そのため液体内には気泡は現れない。

温度が 2.17 K に達すると、気泡が液体の中から生じるようになる (写真、Public domain)。この変換を ラムダ転移 という。

液体ヘリウムのラムダ転移

References

  1. Amazon link: 小城 2002a (Book). 生命にとって酸素とは何か ― 生命を支える中心物質の働きを探る.

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