細胞結合 cell junction と細胞外マトリックスの基礎

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細胞結合、ECM に関する上位のページです

このページの最終更新日: 2024/02/14

  1. Cell junction の概要
  2. 細胞外マトリックスの概要
    • 基底膜とは
  3. 細胞結合、ECM 異常による病気

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細胞結合 cell junction の概要

細胞結合 cell junction は、あらゆる種類の細胞同士の結合を表す語である (2)。動物組織の細胞結合は、以下の 4 つとされることが多い。

  1. タイトジャンクション: Tight junction
  2. 固定結合: Adherens junction
  3. デスモソーム: Desmosome
  4. ギャップジャンクション: Gap junction

植物細胞に特異的な細胞結合に plasmodesmata がある (2)。

あまり良い図ではないが、4 種類の細胞結合を示す模式図 (Public domain) を載せておく。

細胞結合の種類
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細胞外マトリックス ECM の概要

細胞外マトリックス (extracellular matrix; ECM) は 細胞の外に存在する不溶性物質 の総称である。細胞外基質とも呼ばれる。動物 にも 植物 にも存在する。

動物の組織は、模式的に示すと図 (Public domain) のようになっている。すなわち、

  • 最初の層として上皮細胞 epithelial cells がある。
  • その下に 基底膜 basement membrane がある。これは、ページの下で述べる通り細胞膜とは異なり、脂質 でなく ECM で構成されている。
  • 基底膜の下のスペースに ECM が詰まっており、その中に線維芽細胞 fibroblast や血管などが分散している。
細胞外マトリクス

つまり、組織といっても細胞がぎっしり詰まっているわけではなく、ECM が体積の多くを占める。ECM の役割は、次のようにまとめられる。

  • 細胞に足場、栄養などを提供する。
  • 細胞の分化、分裂などを制御する。

ECM は、以下のような成分から構成されている。

タンパク質

多くの種類のタンパク質が含まれるが、動物の ECM で量的にもっとも多いのは コラーゲン である。

多糖

グリコサミノグリカンが多く含まれる。


基底膜とは

基底膜 basement membrane は 層状の ECM である。Basal lamina とも言う。細胞膜とは異なり、脂質二重膜ではないので混同しないように注意。

基底膜 basement membrane は、表皮に近い側の basal lamina と、表皮から遠い reticular connective tissue から成り立っている。この結合組織には VII 型コラーゲン、fibrillin microfibrils などが含まれる。

細胞結合または ECM の異常による病気

壊血病
Scurvy

ビタミン C の欠乏によって、コラーゲンの合成が阻害されて起こる病気。

Osteogenesis imperfecta

タイプ 1 コラーゲン合成不全の遺伝病 (1)。上皮組織は一般に約 30% のタンパク質を含み、とくにコラーゲンが重要な役割を果たしている。コラーゲンの変異によるこの病気では、骨が壊れやすくなり、ときに死に至ることもある。手術やフィジカルセラピーなど、骨を強化する治療が行われる。

Ehlers-Danlos syndrome

結合組織の遺伝病 (1)。関節が過剰に柔らかくなり、皮膚の弾性が上がる。コラーゲンをコードする CO5A1 および CO5A2 遺伝子の異常が原因である。

マルファン症候群
Marfan syndrome

fibrillin-1 などの変異による遺伝病 (1)。腕、足、指などがアンバランスに長くなる。循環系、目に異常。

ルーパス病
Lupus

全身性エリテマトーデス systemic lupus erythematosus (SLE) とも呼ばれる。自己に対する抗体ができてしまう自己免疫疾患であり、結合組織以外が原因の場合もある。


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References

  1. 水島 (訳) 2015a. イラストレイテッド細胞分子生物学 (リッピンコットシリーズ).
  2. Hine (2015). Oxford Dictionary of Biology.

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