サケ、エビなどの色素 アスタキサンチン:
構造、機能、特徴など

UBC/aa_carbo_lipid/carotenoid/astaxanthin


  1. 概要: アスタキサンチンとは

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概要: カロテノイドとは

アスタキサンチン astaxanthin は図 (Public domain) のような構造をもつ色素で、エビ、タイ、サケなどの赤い色素である。

アスタキサンチンの構造

サケ類は他の動物と同様にカロテノイドを合成できず、餌から摂取したアスタキサンチンを蓄積する (2)。筋肉に蓄積するのは大きな特徴である (エビでは殻、マダイでは体表)。

動物の体内では、カロテノイドは一般にタンパク質複合体または脂肪酸エステルの形で存在する。甲殻類を茹でると色が変わるのは、結合タンパク質が変性するためであり、それらの色素はタンパク質複合体として存在している。

魚卵 (イクラなど) では、カロテノイドは リポタンパク質 の複合体として存在している。脂肪酸エステルは、魚類の色素細胞の中で油球に溶けた状態 (2)。

> サケの筋肉で、アスタキサンチンの存在場所を調べた論文 (2)。

  • 全ての実験で、カンタキサンチンという他の色素についてもほぼ同様の結果を得ている。
  • 遠心分離では、水不溶性画分にのみ存在。つまり筋原線維にある。主要な筋肉タンパク質であるアクトミオシンに結合していると考えている。
  • 筋肉中の吸収極大波長は 486 nm で、ヘキサン中の極大吸収波長と比べて 18 nm 長波長側へシフトしている。
  • 界面活性剤、とくに TritonX-100 で容易に抽出される。n-ヘプタンでも抽出され、タンパク質と弱く疎水結合している ことがわかる。
  • 還元実験から、アスタキサンチン側の結合部位はヨノン環。
  • 一方のヨノン環がアクトミオシンの疎水性ポケットに弱く疎水結合し、他方は表面に突き出ていると結論。このタンパク質との結合が吸収スペクトルのシフトをもたらす。

> 他の魚でも、アスタキサンチンはアクトミオシンと結合する (2)。

  • ニジマス、イシガレイ、コイ、カツオ、マサバ、マアジで検討。全て結合し、表面の疎水性と結合量に相関がみられた。
  • したがって、サケのアクトミオシンの構造が特別なのではなく、サケはアスタキサンチンを筋細胞内部まで運ぶ特殊なシステムをもっていると考えられる。
  • 実際、アスタキサンチンは BSA とも似たような様式で結合する。つまりアクトミオシンとの結合が特別なのではなく、これはむしろ非特異的な結合。もっと言えば、単純に筋細胞中で最も多いために主な結合相手になっているだけ。

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References

  1. ページ編集に伴い削除
  2. 逸見 1988a. サケ筋肉中におけるアスタキサンチン、カンタキサンチンの存在状態に関する研究. 東北大学博士論文.

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