動物の行動実験: ID/ED セットシフティングタスク

experiments/behavior/id_ed_set_shifting
5-13-2017 updated

  1. 概要: ID/ED set shifting task とは
    • ID/ED とは何か
    • Attentional とは何か

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概要: ID/ED attentional set shifting task とは

ID/ED attentional set shifting task は、Wisconsin card sorting task (WCST)のように学習状況の変化に直面した際の柔軟さを意味する set shifting の能力、また逆転学習 reversal learning の能力を測るための課題である (2I)。

Wisconsin Card Sorting Test と Cambridge Neuropsychological Test Automated Battery Intra-/Extra-Dimensional set-shift task が、attentional set-shifting abilities などの executive control と cognitive flexibility を測定するためによく使われているテストである、と書かれている (4I)。

> WCST よりもシンプルで、多くのプロセスを区別して診断するための課題である (2I)。
  • 対象には、2 通りの stimulus-response choise が示される。
  • 対象は、WCST のようにフィードバックを通してどちらが正しいかを学習 learning する。
  • 2 通りしかないので、WCST における rule discovery の役割を最小にすることができる。
  • その分、純粋に set shifting の能力を測れるということか?

> ヒトと霊長類ではよく使われるが、齧歯類での使用例は少ない (4I)。

: 対象には、2 通りの stimulus-response choise が示される。


ID/ED とは何か?

ショーシン EM という会社のサイトにヒントがあった (3)。日本語のサイトでは唯一だと思うので、転載させて頂く。

2つの図形が表示され、どちらかを選択すると、正解か不正解か判定されます。図形の配置が反転したり、白線を選択したりと、徐々に難易度を上げることが出来ます。Reversalで、正解の図形を逆にします。

ID Shiftは、選択するオブジェクトが変更します。
ED Shiftは、選択対象をオブジェクトから白線に切り替えます。

ID/ED set shifting


つまり、ID は intradimensional なので、2 次元の状態 (図形のオブジェクト) を保ったまま課題すなわち選択対象を変える。ED は extradimentional なので、選択対象を図形 (2 次元) から白線 (1 次元) に変化させるということだと思われる。

この intra/extradimensional という考え方は、齧歯類の set-shifting task でも登場する。例えば、「右のレバーを押すと餌がもらえる」というように学習した ラット が、「左のレバーを押すと餌がもらえる」状態を学習するのは intra-dimensional である。レバーの上にランプがあって「ランプがついた方を押すと餌がもらえる」という風に再学習するのは、ストラテジーの大きな転換 であり、extra-dimensional である。


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Attentional とは何か?

ID/ED set shifting task という attentional がついていない表現もあるが、おそらく同じことを意味する。Set-shifting のページで説明しているように、attentional set とは 特定の刺激の情報処理を優先させるために脳の中に作られる set のことである。ID/ED set shifting task では、正解・不正解をいちいち考察して処理しているのではなく、もっと反射的に attentional set に従って処理していると考える。この attentional set の変更が attentional set shifting である。

文献 5 には、以下のような説明がある。

「NAB - 迷路課題を直接反映したげっ歯類における作業課題は存在しないが、この課題の遂行に必要となる視空間をスキャンする能力、視覚-運動の制御、処理速度、学習を要する作業課題は存在する.そのような課題のひとつが attentional set - shifting task である.この作業課題はヒトでのウィスコンシン・カード分類テストやそのコンピュータ版であるケンブリッジ神経心理学的テストバッテリーの内次的/外次的シフト課題に類似した課題であり、注意対象の変更に対応できるかどうか、すなわち認知の柔軟性を測定するものである.」


関係する病気

> 統合失調症の患者は、extradimensional stage での成績が低い (2I)。

関連する脳の領域

Reversal phase は OFC に関係するのに対し、extradimensional shift は lateral (primate)/medial (rodent) PFC に関係。

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References

  1. ベアーほか 2007a (Book). 神経科学 脳の探求. 西村書店.
  2. Ceaser et al. 2008a. Set-shifting ability and schizophrenia: a marker of clinical illness or an intermediate phenotype? Biol Psychiatry 64, 782-788.
  3. ショーシン EM 株式会社ウェブサイト 霊長類用タッチスクリーン認識学習装置. Link. Last access 5/13/2017.
  4. Scheggia et al. 2014a.The Ultimate intra-/extra-dimensional attentional set-shifting task for mice. Biol Psychiatry 75, 660-670.
  5. F.E.A.S.T.'s Eating Disorders Glossary. Link.