アメリカの研究費: NIH グラントの書き方

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このページの最終更新日: 2020/06/11

  1. 概要
  2. 採点システム
    • ネット情報
  3. Aim の書き方
  4. その他グラント関係メモ
    • "globally engaged" とは
    • and/or のときは and だと思え

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概要

NIH (National Institute of Health) は、アメリカの医学・生命科学に関する主要な公的研究費を支給している機関である。グラントの種類などは、アメリカの研究費システム のページに示している。ここでは、NIH Grant の書き方に関する情報をまとめる。


採点システム

2007 年から新しい採点システムが検討され、2009 年に採用されている (5)。もっとも一般的な R01 グラントを例に説明するが、他のグラントでも概ね共通のシステムがある。

審査は 2 段階に分かれている。最初は Scientific Review Group (SRG) による審査である。SRG は study section とも呼ばれ、主に non-federal の研究者から構成されるグループである (5)。

SRG では、グラントに criterion score がつけられる。詳細は下の表を参照のこと。5 つの項目で、スコアは 1 点から 9 点である。数字が低い方がいいスコア。

上位の criterion score を得た申請書は、SRG のミーティングでさらに discussion される。スコアが低かったものは not discussed となり、これらが採択される可能性は低い (ほぼ皆無)。Meeting では overall impact score というスコアがつけられる。

2 段階目の審査は、 NIH Institute and Center (IC) の各セクションにある Advisory Councils/Boards で行われる (5)。ここでは申請書の内容が program の主旨に合っているかどうかなどが審査される。

Advisory Councils/Boards は IC director に各申請書に対する recommendation を提出し、これに基づいて IC director が最終決定をする (5)。Overall impact score はもちろん重要であるが、それ以外に PI の経験なども考慮されるようだ (10)。


ネット情報

> アメリカで活躍している日本人のウェブサイトは良い情報源である (10)。
  • SRG meeting では、それぞれの reviewer が割り振られた申請書の内容を 2, 3 分のプレゼンにまとめ、それを他の人が聞いて impact score をつける。申請書を見ながら議論することは事実上ないので、reviewer のプレゼン能力に左右される。
  • 同じ申請書でも、SRG が違うとスコアが全然違うことはもちろんある。これは査読システムの宿命で、腐らないように地道に良い申請書を書き続けるしかないのだろう。
  • Study section の reviewer の多くは、トップではなく中間層の研究者。
  • R01 更新の審査は、良い論文が出ているかどうかでなく、ちゃんと申請書に書かれた研究が行われているかが重視される。

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Specific aim の書き方

Specific aim は、プロジェクトの目的を述べる重要なセクションで、通常は 1 ページである。Reference は含めても含めなくても良さそうだ。NIH sample applications (3) ではどちらもある。

書き方は命令形でいいような気がする。"Investigate A" など。To 不定詞にするとかっこわるい印象。


新しいアイデアは不要

ステムセル分野での原則、Aim の書き方 (1) を中心に、他のサイトや私の経験を追加したもの。元サイト必見。全体に、「新規アイディアが良い計画書に必要だ」というありがちな誤解を解くのに有効。


  • 絶対に冒険しない。アイデアの良さでなく、こうすれば目標達成できるという作戦計画書を書く。この理由からスクリーニングは禁忌。
  • ユニークであってはいけない。 Innovation スコアはアイディアのユニークさを示すのではなく、新しい技術を開発したりエンドユーザーとして使うことで加点されるもの。新しいコンセプトは、十分な preliminary data や他分野の知見からほぼ確定されている場合にのみ言って良い。
    • the concept that ... , while reasonalbe, is not convincing. という身もふたもないコメントを受け取ったことがある。レビューアーは、このように個人の印象だけで悪い点をつけることができ、審査は減点法である。「納得させる」というよりは「隙を見せない」ストラテジーが良い。

  • 結果として、取りうるストラテジーは old question を new systemでアドレスするか、new question を old system でアドレスするかのいずれかのみとなる。これは feasibility と innovation のバランスをとるためで、new-new は feasible でないから没, old-old は innovation も impact もないからだめ。

Aim 同士の関係

  • 全体の構造は、疲れているレビューワーのためにシンプルに。具体的には、チャートに書いたら一直線のアルゴリズムになるように (1)。つまり条件分岐は避ける (2)。
    • 複数の aim を、ちょうどよい距離感で示す。コンセプトは一つで、それに対するアプローチが異なるのが aim 1, aim 2 となるのが良い。コンセプトが複数あると混乱を招く。
    • これは別のサイトで言われていることと同じ (2)。曰く、specific aim は 3 つとかが良く、Central hypothesis を証明するための 3 つの実験目標 と表現されている。
    • さらに、specific aim 1 の成功が aim 2 に必要というプランは好ましくない (2)。こうならざるを得ない場合、aim 1 は 100% 成功するものにしておく。
    • Potential pitfalls はサブ aim で必ずつぶすこと。

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その他グラント関係メモ

内容が増えたら整理していきます。


and/or のときは and だと思え

経験談。申請書に書く項目で、A and/or B という指定があった。A について内容を記述したら、B is missing という腹立たしい reviewer comment がついた。

基本的に グラントレビューは粗探し であるため、and/or のときは and と解釈し、A と B の両方を書くべきだと学んだ。


References

  1. Nuggets for grant writing. すぎりおのがんばったるねん. Link: Last access 6-22-2017.
  2. グラントの書き方. Ryohei's neuroscience notes. Link: Last access 6-22-2017
  3. NIH Sample applications & More. Link: Last access 6-22-2017
  4. Amazon link: Making the Right Moves (English Edition), Ch.9. Getting Funded.
  5. Eblen et al. 2016a. How criterion scores predict the overall impact score and funding outcomes for national institutes of health peer-reviewed applications, PLoS ONE 11, e0155060.
  6. The NIH significance and innovation sections: demystified. Link: Last access 6/24/2017.
  7. Scientific premise in NIH grant applications. Link: Last access 6/25/2017.
  8. Reviewer Guidance on Rigor and Transparency: Research Project Grant and Mentored Career Development Applications. Pdf: Last access 6/25/2017.
  9. Reviewer Guidance on Rigor and Transparency: Research Project Grant and Mentored Career Development Applications. Link: Last access 7/6/2017.
  10. NIH の Study section への戦略. Ryohei's neuroscience notes. Link: Last access 8/3/2017.
  11. Fang et al. 2016a. Reserch: NIH peer review percentile scores are poorly predictive of grant productivity. eLife 5, e13323.

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