トランスポゾン: ゲノム内を動き回る遺伝子

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7-24-2017 updated

  1. 概要: トランスポゾンとは
  2. トランスポゾンの構造
  3. トランスポゾンの分布

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概要: トランスポゾンとは

トランスポゾン transposon とは、染色体 DNA 上を動く能力をもつ genetic unit (配列) である。Transposable element (TE) とも呼ばれる。ゲノム配列を頻繁に変えるために、ゲノム進化の原動力ともなっている。移動の際に RNA の中間体を経る レトロトランスポゾン retrotransposon と、DNA としてのみ移動する DNA トランスポゾン に分類される。

ヒトゲノムの約 44% が transposon 様の配列で、そのうち 0.05% は active である (3I)。

トランスポゾンの構造と分類

図 (1) のような基本構造をもっている。

レトロトランスポゾン

LTR retrotransposon

LTR (long terminal repeats) をもっており、レトロウイルスに構造が似ている。中間体として 2 本鎖 DNA になる時期があるため、non-LTR TEs に比べて転移能力が高い。

non-LTR retrotransposon

LTR をもたない。

Penelope-like elements (PLEs)

両端に反復配列をもつ。LTR に似ているが、独自の構造と転移機構をもつため、別に分類されることが増えてきている。


レトロトランスポゾンは、以下のような遺伝子をコードしている。

遺伝子 機能

Reverse transcriptase

移動の際に中間体となる RNA から、ゲノムに入るための cDNA を合成する。

Endonuclease

ゲノム DNA に切れ目を入れる。Integrase, Tyr recombinase などとも言われる。


DNA transposon

Canonical "cut-and-paste" transposase-encoding TE

現在のところ 20 の superfamily から成る。

Replicative TE

ヘリカーゼ helicase をコードする rolling-circle Helitrons, PolB-type polymerase をコードする self-synthesizing Polintons/Mavericks などがある。

トランスポゾンの分布

トランスポゾンは、一般に植物のゲノムに多く含まれ、ゲノム全体の 75% をも占めることもある。 (2)。植物は 2 セット以上の染色体をもつ polyploidy を示すことも多く、これらがゲノムサイズと体制の複雑さに相関がみられないという C-value paradox の主な原因である。

多くの動物ゲノムはレトロトランスポゾンの方を多く含むが、C. elegans ゲノムでは例外的に DNA transposon が多い。


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References

  1. "Composite transposon" by Jacek FH - self-made, based on Image:Composite transposon.jpg. Licensed under CC 表示-継承 3.0 via ウィキメディア・コモンズ.
  2. Schnable et al. 2009a. The B73 maize genome: complexity, diversity, and dynamics. Science 326, 1112-1115.