老化の概要と目次

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老化,寿命の目次に該当する上位ページです。
6-25-2017 updated


このページの内容

  1. 概要: 老化の定義
  2. 老化の意義
  3. 老化のメカニズム
    • 細胞の老化と個体の老化

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概要: 老化の定義

「老化」という言葉にはさまざまな定義があるが,メイナード・スミスの定義 (文献 1,以下の定義リストの 1 番) がクリアでわかりやすい。その他,いくつか原著論文で見かけた表現とともにリストにしておく。

  1. 老化とは,心身機能の進行性の衰退をもたらし,結果として死の危険を増大させるような現象である (1)。
  2. Aging is the universal, progressive, and intrinsic accumulation of deleterious changes (3).
  3. Aging is commonly characterized as a progressive, generalized impairment of function, resuting in an increasing vulnerability to environmental challenge and a growing risk of disease and death (4).

英語では,老化に該当する単語として agingsenescence がある。一般の辞書では aging は「加齢 (単に年月が経って変化が起こること)」を意味し,機能の低下というニュアンスをもつ「老化」には senescence が該当する場合が多いようである。Oxford online dictionary では

  • Aging: The process of growing old. The process of change in the properties of a material occurring over a period, either spontaneously or through deliberate action.
  • Senescence: The condition or process of deterioration with age.

と定義されている。原著論文の定義と,少しずれがあるように思う。


老化の意義

生物はなぜ老化するのか? と疑問は昔からあり,いくつかの老化理論が提唱されてきた。「~説」という名前で受け入れられている理論を表にまとめる。

いくつかはメカニズムにも言及しており,またそれぞれの説の概念には重複しているものもある。詳細はリンク先を参照のこと。

プログラム説

老化は遺伝子によってプログラムされた過程であるとする説。

エラー説

プログラム説に対する大きな概念で,老化は体に蓄積するダメージの結果であり,遺伝子によってプログラムされてはいないとする説。

酸化ストレス説
(フリーラジカル説)

エラー説の一種とも言える。活性酸素によるダメージの蓄積が老化の原因であるとする説。

使い捨ての体理論

Disposable soma theory という (1)。体を germline と soma に分けて考えるのが特徴で,soma には限られた投資しかしないことが老化の原因であるとする。

摩耗説

熱力学の第二法則 (エントロピー増大の法則) で老化を説明しようとする説。生物は開放系であり,この法則は適用できないため誤りとされる。

熱力学の第二法則 (エントロピー増大の法則) で老化を説明しようとする説。生物は開放系であり,この法則は適用できないため誤りとされる。


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老化のメカニズム

細胞の老化と個体の老化

ヒトの体細胞は,約 50 回しか分裂することができない (2)。これを ヘイフリック限界 Hayflick's limit という。ヘイフリック限界に近い回数の分裂を終えた細胞は,いくつかの老化症状を示す。これを 細胞老化 cellular senescence という。

まず,老化した細胞では 細胞周期 がストップし,細胞は G1 phase に留まる (1)。このとき p21 や p16 などの cell cycle inhibitor の発現が増大している。

また,老化した細胞ではクロマチン構造の変化が起こる (2)。ゲノムのメチル化は全体的に減少するが,一部の領域ではメチル化が増える。ヒストン も脱アセチル化が進み,senescence-associated heterochromatin foci (SAHF) と呼ばれる特殊な領域を作り出す。クロマチン構造の変化は,細胞周期を進めるような遺伝子の発現抑制に繋がっていると考えられている。


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References

  1. Kirkwood 1999a. 生命の持ち時間は決まっているのか - 「使い捨ての体」理論が開く希望の地平.

  1. Amazon link: Pierce 2016. Genetics: A Conceptual Approach: 使っているのは 5 版ですが,6 版を紹介しています。
  2. Kipling et al. 2004a (Review). What can progeroid syndromes tell us about human aging? Science 305, 1426-1431.
  3. Kirkwood 2005a (Review). Understanding the odd science of aging. Cell 120, 437-447.