一酸化窒素 NO: 血管収縮などのシグナルを伝える低分子
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2019/01/13 更新
- 概要: 一酸化窒素 NO とは
- 一酸化窒素 NO の生合成
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概要: 一酸化窒素とは
一酸化窒素 (nitric oxide; NO) とは、血管内皮細胞などによって合成され、血管を弛緩させる作用のある物質である (1)。1998 年のノーベル医学生理学賞は NO の発見者に授与されている。
NO は基本的に気体であるため、細胞内の小胞に保存することができない。細胞質などに溶解した形で拡散するため、
NO には以下のような生理作用がある。
血管収縮作用
主に血管内皮細胞で合成される NO の機能と考えて良いだろう。以下のような場面で重要である (1)。
- 勃起は NO の作用で陰茎の血管が弛緩し、血液が流入することで起こる。
- 狭心症の治療薬であるニトログリセリンは、NO を発生して冠動脈を弛緩させる。
活性酸素発生作用
NO は不対電子をもつが (図; Ref.3)、他の分子の水素を引き抜くほどの反応性はなく、ラジカル反応を引きおこなさい。むしろラジカルを補足する作用がある (1)。
マクロファージは、スーパーオキシドと NO を同時に合成することで、両者が結合した反応性の高いペルオキシニトライトを発生させ、バクテリアを攻撃する (1)。
内分泌制御作用
脳の ニューロン で発現する eNOS によって合成される NO の主要な機能である。神経伝達物質の放出、ニューロンの発達および再生などを制御する (2)。
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一酸化窒素 NO の生合成
一酸化窒素 NO は、NO 合成酵素 (NO synthase; NOS) が アルギニン L-Arg を酸化することによって生合成される (1)。生成物は NO と L-citrulline である (2)。
NOS には、血管や脳で発現するアイソフォームと、白血球やマクロファージに存在するアイソフォームの 2 種類がある。
> NOS には以下のような特徴がある (2)。
- 哺乳類 NOS は 130 KDa 以上の巨大タンパクで、N-terminal oxygenase domain (ヘム、BH4 および Arg との結合サイトがある) と C-terminal reductase domain (カルモジュリン、FAD、FMN および NADPH の結合サイトがある) に分かれる。
- ホモダイマーとして働く。
哺乳類 NOS には 3 つのアイソフォームがある (2)。
nNOS |
Type I NOS, NOSI とも呼ばれる。神経細胞からクローニングされたためこのように名前がついているが、筋肉など他の細胞でも発現する (2)。 |
iNOS |
inducible NOS の略で、type II NOS または NOSII とも呼ばれる。マクロファージから発見され、nNOS および eNOS とは異なりカルシウムシグナルに制御されない (2)。 |
eNOS |
endothelial NOS の略で、上皮細胞から最初にクローニングされたが、他の細胞でも発現する (2)。 |
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References
小城 2002a (Book). 生命にとって酸素とは何か (Amazon link). 講談社ブルーバックス.Cioni et al. 2019a. Nitric oxide and the neuroendocrine control of the osmotic stress response in teleosts. Int J Mol Sci. 20, 489.- パブリック・ドメイン, Link