鉄 iron: 電子配置と生物学的な重要性
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このページの最終更新日: 2024/12/15- 概要: 鉄の特徴
- 鉄の生物学的重要性
- 電子配置
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概要: 鉄の特徴
鉄 iron は原子番号 26 の元素である。記号は Fe。古来より知られていたが、1713 年、Nicoles Lemery と Etienne Geoffroy がヒトの血液から発見した。
基本的性質
原子量 |
55.85 |
融点 |
1536 °C |
沸点 |
2861 °C |
密度 |
7.874 g/cm3 |
鉄の生物学的重要性
- ヘモグロビン hemoglobin に含まれる元素として、体内の酸素の運搬に重要な役割を果たす。
- 鉄イオンは反応性が高いため、生体内では transferrin, ferritin というタンパク質と結合して、厳重に管理されている。
電子配置 Electron configuration
K, L, M, N 殻 にそれぞれ 2, 8, 14, 2 個ずつ電子が入っている。
K, L, M, N 殻 の電子軌道はそれぞれ 1s, 2s/2p, 3s/3p/3d, 4s/4p/4d/4f であり、それぞれ 2, 2/6, 2/6/10, 2/6/10/14 個の電子を収容することができる。「/」は分数でなく「および」の意味である。ただし、
となり、最外殻に 2 個の電子をもつことになる。これにより、以下の性質が現れる。
- 鉄原子は 4s 軌道の 2 個の電子を失い、Fe2+ になりやすい。
- 3d 軌道は電子を 10 個まで収容できるが、5 個でいったん安定化する。そのため Fe3+ は存在するが、さらに電子を引き抜かれた Fe4+ イオンは存在しない。
- 原子番号の近いマンガン manganese、コバルト cobalt、ニッケル nickel などは、鉄と 3d 軌道の電子の数が異なり、4s にある最外殻電子の数は 2 個と同じである。そのため、これらは似た性質を示し、いずれも 2 価の陽イオンになりやすい。
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References
小城 2002a (Book). 生命にとって酸素とは何か. 講談社ブルーバックス.小宮山、長棟 1997a (Book). 生命化学概論. 丸善株式会社.
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