クロム: 人体への影響を中心に
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このページの最終更新日: 2026/10/18広告
概要: クロムとは
クロム chromium は、原子番号 24、元素記号 Cr の遷移金属元素である。単体は銀白色の光沢をもつ硬い金属で、表面に緻密な酸化皮膜を形成するため耐食性が高い。この性質を利用して、ステンレス鋼の合金成分やめっきなどに用いられる。
クロムは複数の酸化状態をとり、環境中では主に三価クロム Cr(III) と六価クロム Cr(VI) として存在する。六価クロムはクロム酸塩や二クロム酸塩などの化合物として存在し、一般に三価クロムよりも毒性が高い。
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人体への影響: 六価クロムの毒性と発がん性
クロムの人体への影響は、化学形態、曝露経路、曝露量によって異なる。とくに問題となるのは 六価クロム であり、国際がん研究機関 IARC は六価クロム化合物を「ヒトに対して発がん性がある」グループ 1 に分類している。金属クロムや三価クロム化合物は同じ分類ではなく、グループ 3「ヒトに対する発がん性について分類できない」とされる。ただし、これは無害であることを意味しない。
六価クロムによる発がんでは、クロム酸塩の製造、クロムめっき、クロム含有合金の溶接などに伴う粉じん・ヒューム・ミストの吸入が重要である。呼吸器に直接曝露するため、肺がんの原因となるほか、鼻腔・副鼻腔がんとの関連も報告されている。肺がんについては十分なヒトの証拠がある一方、鼻腔・副鼻腔がんの証拠はそれより限定的であり、上気道のがん全般を同じ確かさで扱うことはできない。
六価クロムはクロム酸イオンなどの形で細胞内に取り込まれ、アスコルビン酸やグルタチオンなどによって、五価・四価の中間体を経て三価クロムへ還元される。この過程で生じる反応性の高い中間体や活性酸素に加え、生成した三価クロムによる DNA への結合や DNA–タンパク質架橋などが、DNA 損傷や染色体異常を引き起こす。これらの遺伝毒性が発がんの重要な機序である。
三価クロムは細胞外からは取り込まれにくいが、六価クロムとして侵入した後に細胞内で生成すると、DNA 損傷に関与しうる。したがって、六価から三価への還元は、細胞内では単純な無害化とは限らない。また、六価クロムへの反復曝露は鼻粘膜の炎症・潰瘍や鼻中隔穿孔も起こしうる。ステンレス製品などの通常使用と、六価クロムを含む粉じんなどの職業性吸入曝露は、区別して考える必要がある。
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