SOD: 活性酸素を分解する酵素分類、活性測定法など

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2017/11/17 updated

  1. 概要: SOD とは
  2. Cu/Zn SOD
    • TG mice
    • KO mice
    • その他の生物
  3. Mn SOD
  4. Extracellular SOD
  5. SOD 活性の測定法

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概要: SOD とは

スーパーオキシドジスムターゼ (SOD; superoxide dismutase; EC 1.15.1.1) は、活性酸素であるスーパーオキシド O2- と水素イオン H+ から、酸素と過酸化水素を生成する反応を触媒する酵素である。

スーパーオキシドは、キサンチンから尿酸を生成する反応、NADPH - チトクローム P450 還元酵素による酸素の 1 電子還元などによって生成する (6)。


2O2-+ 2 H+ → O2 + H2O2


この反応は、1 種類の物質である O2- が反応して O2 および H2O2 になる反応であり、不均化反応 dismutation の一種である。

SOD の活性中心には 2 価の金属 Cu, Fe, または Mn が含まれる。金属の種類と細胞内局在によって、SOD は一般に以下の 3 種類に分類されている。


Cu/Zn SOD

活性中心に Cu を含む SOD で、主に真核生物の細胞質に局在する。Zn は構造の安定化に重要であると考えられている。

Mn SOD

活性中心に Mn を含む SOD で、真核生物のミトコンドリアに局在する。また、一部のバクテリア (1D) や甲殻類では、細胞質型の Mn SOD (cytoplasmic Mn SOD) の存在も報告されている。

Extracellular SOD

Cu および Zn をもつが、細胞質ではなく細胞外に局在する。分泌された Cu/Zn SOD ではなく、異なる分子である。

Fe SOD

主にバクテリアに存在する。


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Cu/Zn SOD

Cu/Zn SOD は、活性中心に銅原子 Cu を含む SOD で、主に真核生物の細胞質に局在する。ミトコンドリア の intermembrane space にもあると書かれている (2)。Zn は構造の安定化に重要であると考えられている。


Cu/Zn SOD transgenic mice

> 単純な Cu/Zn SOD の過剰発現は、寿命を延長させないというデータが支配的。
  • Human genome fragment containing the SOD1 gene Tg mice の Cu/Zn SOD 活性は 2 - 5 倍高く、MEF のパラコート耐性も高いが、寿命は野生型と同じである。
  • Cu/Zn SOD & catalase, Cu/Zn SOD & Mn SOD double transgenicも、寿命は野生型と同じ (1,3)。

Cu/Zn SOD ノックアウトマウス

Cu/Zn SOD-/- mice は以下のような表現型を示す。

  • 酸化ストレスに弱く、寿命も野生型より 30% 短い (1)。
  • DNA に蓄積する酸化ダメージは、野生型マウスの数倍高い (1)。
  • 卵巣機能不全を示し不妊である (1)。
  • 睾丸が小さくなり、細胞間に隙間が生じる。熱ストレス下で精原細胞の機能が阻害される (4)。
    • アポトーシスが増え、熱ストレス後の細胞の精原細胞の生存率が低下する。
    • これは ROS scavenger によってされる。熱ストレスで生じる活性酸素が増えていると思われる。

Cu/Zn SOD+/- mice の寿命は野生型と同じで、酸化ストレス耐性に関する情報は 2009 年時点ではない (1)。


その他の生物

Drosophila

> タンパク質制限による寿命延長に Cu/Zn SOD が必要 (6R)。
  • ただし炭水化物量が多いときのみ。
  • 餌のタンパク質/炭水化物比率の変化で寿命が変化する。タンパク質制限ではTORシグナルが低下。
  • SOD1 の過剰発現は、寿命延長の十分条件ではない。
  • タンパク質制限で寿命が延びたときにも、酸化ストレス耐性は上がらない。

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SOD 活性の測定法

SOD の活性測定法は、原則的に以下の 2 ステップに分けられ、それぞれに複数の方法がある (6)。

  1. O2- を発生させる段階
    • キサンチン - キサンチンオキシダーゼ反応
    • フラビンの光還元反応
    • Phenazine methosulfate (PMS) の NADH による還元反応を利用する
    • ピロガロールやヘマトキシリンの自動酸化を利用する方法

  2. SOD による O2- の減少を測定する段階
    • 直接測定法 [電子スピン共鳴 (ESR)、ポーラログラフ法、化学発光法および UV 法など]
    • 間接測定法 (チトクローム c 法、NBT 法、亜硝酸法、ピロガロール自動酸化法など)

以下、段階 2 の間接測定法について解説する。


シトクロム c 法

SOD の存在を示すために最初に用いられた方法 (6)。O2- によってヘムタンパク質である シトクロム c の Fe3+ が Fe2+ に変化する。この変化を 550 nm の吸光度で測定する (6)。


NBT 法

O2- によって NBT (nitroblue tetrazolium) を還元し、生成したホルマザンを 560 nm で測定する (6)。反応の停止に CuCl2 を用いることで、ホルマザンが 3 時間以上安定に保たれるため、検体が多いときの測定に適する。

シトクロム c 法に比べ特異性はやや劣るが、感度は高い (6)。


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References

  1. Trost et al. 2010a. The complete genome sequence of Corynebacterium pseudotuberculosis FRC41 isolated from a 12-year-old girl with necrotizing lymphadenitis reveals insights into gene- regulatory networks contributing to virulence. BMC Genomics 11, 728.
  2. Perez 2009a (Review) Biochem Biophys Acta 1790, 1005-1014.
  3. Perez 2009b. Aging Cell 8, 73-75.
  4. Ishii et al. 2005a. Accelerated impairment of spermatogenic cells in sod1-knockout mice under heat stress. Free Radic Res 39, 697-705.
  5. Sun et al. 2012a. Nutrient-dependent requirement for SOD1 in lifespan extension by protein restriction in Drosophila melanogaster. Aging Cell 11, 783-793.
  6. 佐野, 富田 1992a. 抗酸化酵素の測定. 化学と生物 30, 743-747.