研究者のための著作権のページ: 講義、配布資料など

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8-20-2017 updated

  1. 概要
  2. 著作権とは
  3. 自由に使える場合
    • 引用の定義
    • 講義やプレゼンでの著作物の利用
    • ウェブサイトでの利用
  4. 引用の範囲を超えるかもしれない場合
    • 著作権の (一部) 放棄
    • クリエイティブ・コモンズ (CC)
    • CC を実際に利用する方法

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概要

要するにどう考えれば良いかをチャートで示すと、以下のようになる。

使いたいものが著作権で保護されているか?
  • No (public domain) → 自由に使える。
  • Yes → 引用の範囲内を満たすか?
    • Yes → 引用の条件を満たす範囲で使える。
    • No → 著作権の部分放棄がなされているか?
      • No → 使えない。
      • Yes → クリエイティブ・コモンズの条件を満たす範囲で使える。

したがって、「引用の条件」および「クリエイティブ・コモンズの条件」を満たすかどうかを判断することが現実的な問題になるわけである。


著作権とは

著作権 copyright とは 知的財産権の一部 であり (1)、著作物を利用しようとする人に、著作権者が利用を認めたり禁止したりできる権利である (2)。

知的財産権
  • 知的創造物についての権利
    • 特許権: 発明を保護
    • 実用新案権: 物質の形状等の考案を保護
    • 意匠権: 物質のデザインを保護
    • 著作権: 文芸、芸術、美術、音楽などを保護
    • 回路配置利用権: 半導体集積回路の配置を保護
    • 育成者権: 植物の新品種を保護
    • 営業秘密: ノウハウや顧客リストの盗用などを規制    
  • 営業上の標識についての権利
    • 商標権: 商品などのマークを保護
    • 商号: 商号を保護
    • 商品表示、商品形態: 種々の不正競争行為を規制

日本の著作権法では、著作物とは「思想又は感情を創作的に表現した、文芸、美術、学術、又は音楽の範囲」に属するもののことである (3)。この定義に照らすと、以下のようなことが言える。

  • 単なるデータの集合体や、十分に「表現」されていない思いつきなどは含まれない。
  • 創作的でないもの (他人の著作物の模倣など) は含まれない。
  • 発明、工業製品などは含まれない。→ どちらかというと特許権に関係が深いのだろう。

具体的には、小説、音楽、美術、映画、コンピュータプログラム等が例として挙げられている。また、新聞、雑誌、百科事典などは、素材の選択又は配列によって創作性を有すると解釈され、編集著作物として保護されるようだ (3)。


自由に使える場合

したがって、原則としては他人の著作物を使うには許諾が必要であるが、以下の場合には、許諾なしで利用することができる (4)。ここでは、講義、学会発表などの研究者の行動でもっとも関わりが深いと思われる 引用 について解説するが、教育関係の利用はわりと認められていることがわかる。。

  1. 私的使用のための複製
  2. 検討の過程における利用
  3. 技術の開発又は実用化のための試験に用いるための利用 (著作権法第30条の4)
  4. 図書館での複製・自動公衆送信 (著作権法第31条)
  5. 引用 (著作権法第32条)
  6. 教科書への掲載 (著作権法第33条)
  7. 拡大教科書の作成のための複製 (著作権法第33条の2)
  8. 学校教育番組の放送など (著作権法第34条)
  9. 学校における複製など (著作権法第35条)
  10. 試験問題としての複製など (著作権法第36条)
  11. 視覚障害者等のための複製 (著作権法第37条)
  12. 聴覚障害者等のための複製 (著作権法第37条の2)
  13. 非営利目的の演奏など (著作権法第38条)
  14. 時事問題の論説の転載など (著作権法第39条)
  15. 政治上の演説などの利用 (著作権法第40条)
  16. 時事事件の報道のための利用 (著作権法第41条)
  17. 裁判手続などにおける複製 (著作権法第42条)
  18. 情報公開法による開示のための利用 (著作権法第42条の2)
  19. 公文書管理法による保存のための利用 (著作権法第42条の3)
  20. 国立国会図書館法によるインターネット資料の複製 (著作権法第42条の4)
  21. 翻訳、翻案等による利用 (著作権法第43条)
  22. 放送などのための一時的固定 (著作権法第44条)
  23. 美術の著作物などの所有者による展示 (著作権法第45条)
  24. 公開の美術の著作物などの利用 (著作権法第46条)
  25. 展覧会の小冊子などへの掲載 (著作権法第47条)
  26. インターネット・オークション等の商品紹介用画像の掲載のための複製 (著作権法第47条の2)
  27. プログラムの所有者による複製など (著作権法第47条の3)
  28. 保守・修理のための一時的複製 (著作権法第47条の4)
  29. 送信障害の防止等のための複製 (著作権法第47条の5)
  30. インターネット情報検索サービスにおける複製 (著作権法第47条の6)
  31. 情報解析のための複製 (著作権法第47条の7)
  32. コンピュータにおける著作物利用に伴う複製 (著作権法第47条の8)
  33. インターネットサービスの準備に伴う記録媒体への記録・翻案 (著作権法第47条の9)
  34. 複製権の制限により作成された複製物の譲渡 (著作権法第47条の10)


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引用の定義

著作権法における引用とは、法の要件を満たして他人の著作物を無断で使用すること である (5)。

著作権法第32条

[1] 公正な慣行に合致すること、引用の目的上、正当な範囲内で行われることを条件とし、自分の著作物に他人の著作物を引用して利用することができる。同様の目的であれば、翻訳もできる。 (注5)
[2] 国等が行政のPRのために発行した資料等は、説明の材料として新聞、雑誌等に転載することができる。ただし、転載を禁ずる旨の表示がされている場合はこの例外規定は適用されない。

(注5) 引用における注意事項

他人の著作物を自分の著作物の中に取り込む場合、すなわち引用を行う場合、一般的には、以下の事項に注意しなければなりません。

  1. 他人の著作物を引用する必然性があること。
  2. かぎ括弧をつけるなど、自分の著作物と引用部分とが区別されていること。
  3. 自分の著作物と引用する著作物との主従関係が明確であること (自分の著作物が主体)。
  4. 出所の明示がなされていること。 (第48条)
(参照:最判昭和55年3月28日 「パロディー事件」)


講義やプレゼンでの著作物の利用

実際に、講義や学会発表のスライドに論文やウェブの図 (画像) を載せる場合は、問題なく上記の引用の条件を満たしている はずで、堂々と使用してよい。また、講義での使用ならば「学校における複製など」に該当するとすると思われ、これも問題にならない。

Smith et al. (2015) など、出所の明示を忘れないようにしよう。

ウェブサイトでの著作物の利用

講義や学会発表などのアカデミックな場と違って、ウェブサイトの場合は、引用する必然性、主従関係などを明確にしづらいこと、画像などの転載が容易であること、また実際に著作権上問題があるとされる行為が (多すぎるために) 黙認されていることなどから、より注意深く引用を行う必要があるように思う。

このサイトでは、「引用の範囲を超えるかもしれない場合」に準拠して、なるべく注意を払って論文などの図を転載することにしている。このサイトで実践していること のページを参照のこと。


引用の範囲を超えるかもしれない場合

著作権の (一部) 放棄

著作権者は、自らのもつ著作権を放棄することが可能である。著作権が完全に放棄された著作物は パブリックドメイン public domain と呼ばれ、誰でも自由に利用することができる。

著作権を一部だけ放棄する場合もあり、その程度を分類するために非営利団体であるクリエイティブ・コモンズが提唱する CC ライセンス が広く受け入れられている。

クリエイティブ・コモンズ

クリエイティブ・コモンズのページは こちら 。よくまとまっているが内容が多いので、ブログなどで CC ライセンスを利用するときに 実際に何をしなければならないかをまとめたページ を作成。



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References

  1. 知的財産権について. 経産省 特許庁ウェブサイト. Link.
  2. 日本著作権協会ウェブサイト. Link.
  3. 文化庁ウェブサイト 著作物について. Link.
  4. 公益社団法人著作権情報センターウェブサイト. Link/広告付きリンク.
  5. 文化庁ウェブサイト 著作物が自由に使える場合.