遺伝的浮動: Genetic drift

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2018/02/01 更新

  1. 概要: 遺伝的浮動とは
  2. 創始者効果: Founder effect
  3. ボトルネック効果: Bottleneck effect

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概要: 遺伝的浮動とは

遺伝的浮動 genetic drift とは、集団におけるアリル頻度のランダムな変動 のことである。Sewall Wright effect とも呼ばれる。各種文献における定義は以下の通り。

  • The random change in the frequency of alleles in a population over successive generations due to sampling error in the gametes (1).

噛み砕いて言うと、偶然によってある allele が集団に生き残ったり、集団から取り除かれたりすることをいう。例えば、ある遺伝子型をもつ個体が生存に有利な形質 (ストレスに強い、子供をたくさん産めるなど) を持っているとして、その遺伝子が徐々に集団内で増えていくのが 自然選択 natural selection である。しかし、そのような個体でも車に轢かれたりして死んでしまうことがあり、優れた遺伝子が必ずしも生き残るわけではない。このような偶然による allele の選択が genetic drift である。

ハーディー・ワインベルグの法則 のページにアリル allele, アリル頻度 allele frequency などの定義があるので、そちらも参照のこと。なお、この法則は遺伝的浮動の影響がない場合に成り立つ法則である。


遺伝的浮動の特徴

遺伝的浮動は、以下のような特徴をもつ。

  • 集団が小さいほど影響が大きい (1)。
  • 遺伝的浮動によって、ある allele が偶然に集団に固定されたり、集団から除去されたりする (1)。

創始者効果: Founder effect

創始者効果 founder effect は遺伝的浮動の一種で、少ない個体から新しい個体群が作られる場合に、新しい個体群が、もとになった個体群とは異なった遺伝子頻度をもつ現象をいう。

Oxford Dictionary of Biology (Amazon link) では次のように定義されている。

"The phenomenon occurring when a population is founded by a small sample of the entire species, perhaps just a handful of individuals. Chance dictates that these founder members will be genetically unrepresentative of the species as a whole, and that the genetic make-up of the new population will differ markedly from the main species population."

文献 4 より。もとの集団の一部が新しい集団を作ると、遺伝子の頻度 (赤と青) に偏りが生じる。



ボトルネック効果

創始者効果と似ているが、新しい個体群が生じるのではなく、瓶の首のように 個体群の大部分が死滅すること で生じる遺伝子型頻度の偏りを ボトルネック効果 bottleneck effect という (図; 5)。やはり遺伝的浮動の一種である。


  • アメリカナマズ のゲノム解析から、この魚が氷河期に何度かボトルネックを経験していると考察した論文がある。詳細はリンク先を参照。

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References

  1. Amazon link: Hine (2015). Oxford Dictionary of Biology.
  2. Amazon link: Pierce 2016. Genetics: A Conceptual Approach: 使っているのは 5 版ですが、6 版を紹介しています。
  3. Amazon の紹介: 江島 (2009). これだけは知っておきたい図解ジェネティクス.


  1. パブリック・ドメイン, Link
  2. By TedE, CC BY-SA 3.0, Link