教科書というよりは科学読み物。今まで読んだ無限論の本で,文句無しに一番面白かった。

大学生の「僕」と「タカムラさん」が,2 人だけでタジマ先生の哲学のユーモラスな講義を受ける。アキレスと亀の話はどこがおかしいのか,という話から始まる。無限級数が収束することが解答になると思っていた人は,ここでまず大きな刺激を受けるだろう。話はそこから集合論,ラッセルのパラドックス,ゲーデルの不完全性定理へと続く。

たとえば「自然数」は「無限」に存在する。これを「そこにある完結した無限」として捉えるのではなく,0 に 1 を足していく規則として捉える 可能無限 の立場が本書の特徴。一方,「実数」も無限個存在するが,これは一つの規則で記述できるものではないようだ。最後の一文は,無限論の余韻を残しつつ情景を鮮やかに浮かび上がらせる美しい締めになっていると思う。Kindle 版あり