糖尿病、肥満、インスリン、進化などに興味のある人は読んでおくべき本。進化という観点からこれらを考察している。個人的には、とくに脂肪組織の進化に関する第 4 章がおもしろかった。たとえば以下のようなことが書かれている。

  • 脂肪の蓄積形態は、動物の体の複雑さとともに変化し、次第に専門的な脂肪細胞が現れてくる。
  • 酵母は細胞質に脂肪滴があり、線虫では消化管細胞や皮下に脂肪滴がある。
  • ショウジョウバエには脂肪体が存在する。これは TOLL receptor を発現し抗菌物質を産生する。哺乳類の脂肪組織がホルモンを分泌するのと似ている。

さらに、人種によるインスリン分泌量の違いなども紹介されている。この本を読めば、確実に肥満や糖尿病を違った視点から眺めることができるようになるだろう。