ウエスタンブロットの W は大文字か小文字か

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11-13-2017 updated


  1. Western は大文字か小文字か

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Western は大文字か小文字か

古い記述は ブログのこのページ に保存しておきました。


小文字派の主張

ウエスタンブロットは、似た方法で DNA を検出するサザンブロットの応用として考案された。サザンブロットは Edwin Southern が考案したため、Southern は人名であり、そのために Southern blot と S を大文字で表記する。これに対して、western は人名でないため、小文字にするのが慣例である。


大文字派の反論

Southern に対応させるため "adapted to Southern" 大文字にしている。「西の方のブロット」では意味がわからない。大文字にすることで、実験方法であることが明らかになる。これは 大文字にすることで固有名詞化する という英語のルールにのっとっているのではないか。


小文字派の再反論

「グラム染色 Gram stain」の Gram も人名である。お前は全ての染色を大文字にするのか? 銀染色 silver staining は小文字じゃないか。


大文字派の再再反論

銀染色 silver stainig は銀を使った染色で、silver は本来の意味で用いられている。Gram に基づいて決められているわけではなく Western blot とは状況が違う。この大文字は「western が本来の意味でなく、Southern に基づいている」ということを示すものだ。Sonic hedgehog, Pokemon gene なども大文字表記が普通なはずだ。


以上のように、私は小文字派だったのですが 大文字派になりました。その他、参考になる事項を箇条書きにしておきます。

  • Western blot を提唱した論文 (1) では、大文字表記が使われている。「Sourtern, Northern に敬意を表して "Western blot" とする」と書かれているのがかっこいい。
  • 手持ちの論文をざっと見ただけだが、Nature 系の雑誌は小文字 (e.g. 文献 2)、Science は大文字 (3) の模様。

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References

  1. Burnette 1981a. "Western blotting": electrophoretic transfer of proteins from sodium dodecyl sulfate-polyacrylamide gels to unmodified nitrocellulose and radiographic detection with antibody and radioiodinated protein A. Anal Chem 112, 195-203.
  2. Goodman et al. 2002a. MEC-2 regulates C. elegans DEG/ENaC channels needed for mechanosensation. Nature 415, 1039-1043.
  3. Brunet et al. 2004a. Stress-dependent regulation of FOXO transcription factors by the SIRT1 deacetylase. Science 303, 2011-2015.