脂質/脂肪 (lipid/fat/oil) の定義と概要

aa_carbo_lipid/lipid/lipid_general
4-13-2017 updated



脂質の概要に関するページです。脂質の目次は このページ にあります。

  1. 脂質の定義
  2. 極性による分類: 中性脂質と極性脂質
  3. 脂肪酸
  4. 脂質の役割
    • エネルギー源としての脂質
    • シグナル伝達分子としての脂質
    • 緩衝材・断熱材としての脂質
    • 細胞膜成分としての脂質

広告

脂質/脂肪の定義

Lipid (脂質に相当)

脂質 lipid は構造に基づいて定義されているわけでなく、以下のように 水に溶けにくく、有機溶媒に溶けやすい生体分子 として定義されている。「脂肪」よりも範囲が広く、例えば細胞膜の構成成分であるリン脂質 phospholipid は、脂肪ではないが脂質に含まれる。

  • 水に溶けにくく、有機溶媒に溶けやすい、生体に存在する 'あぶら' 状の物質の総称。多種類の物質があるが、とくに脂肪酸の誘導体が大きな割合を占めている (8)。
  • Any of a class of organic compounds that are fatty acids or their derivatives and are insoluble in water but soluble in organic solvents. They include many natural oils, waxes, and steroids (1).
  • A fatty or waxy organic compound that is readily soluble in nonpolar solvent (e.g. ether) but not in polar solvent (e.g water). Its major biological functions involve energy storage, structural component of cell membrane, and cell signaling (2).
  • By definition, lipids are water-insoluble biomolecules that are highly soluble in organic solvents such as chloroform (7).
  • The lipids are a heterogeneous group of compounds, including fats, oils, steroids, waxes, and related compounds, that are related more by their physical than by their chemical properties. They have the common property of being relatively insoluble in water and soluble in nonpolar solvents such as ether and chloroform (9)

なお、セルロースなどの多糖類 (いわゆる食物繊維) は水溶性の低い生体分子であるが、有機溶媒にも溶けにくいので、脂質とは呼ばれない。また、ダイオキシンは水溶性が低い分子であるが、生物由来ではないので脂質ではない。

水溶性の低い生体由来の「低」分子という定義もみたことがあるが、上記のように水溶性と脂溶性で定義する方が簡潔で良さそうだ。

Yahoo 知恵袋の内容がひどいことは有名であるが、「加水分解することによって脂肪酸を生じる化合物」という定義が書かれていて、これは真っ赤なウソである (3)。


Fat (脂肪に相当)

一方で、脂肪 fat は トリアシルグリセロール (トリグリセリド, TAG, TG) のことを指す言葉のようである。

  • (Science: biochemistry) a triglyceride (lipid) that is usually solid at room temperature (2).

Oil (オイル)

Oil は上の 2 つと比べて植物的、非生物的、液体的な概念のようである。Fat と比べた場合の定義は以下の通り。

  • A slippery or viscous liquid or liquefiable substance not miscible with water (2).
  • Any of a group of liquid edible fats that are obtained from plants (2).
  • A type of fat which is in a liquid form at normal room temperature. (2).

広告

極性による分類: 中性脂質 neutral lipid と 極性脂質 polar lipid

中性脂質 neutral lipid

極性の低い脂質を中性脂質 neutral lipid という。トリアシルグリセロール (TAG) が代表的な中性脂質である。コレステリルエステル (CE)は、文献によって中性脂質に含めているものと含めていないものがある。

  • Neutral lipids such as cholesterol esters and triglycerides must move into cells from an aqueous milieu, yet... (4)
  • The neutral lipid is primarily triglyceride and cholesterol (5).

> CE, TG, コレステロール およびセレブロシドを中性脂質として定量した論文 (6)。
  • リン脂質と対比。Cardiolipin, PR, PI, PS, PC, Sph をリン脂質として定量。

極性脂質 polar lipid

リン脂質など。


脂肪酸 Fatty acid

脂肪酸 fatty acid とは、カルボキシル基 -COOH を 1 個もつ鎖式化合物、すなわち鎖式モノカルボン酸の総称である (8)。例えばギ酸 HCOOH や酢酸 CH3COOH が代表的な脂肪酸である。また、炭素鎖に二重結合をもつ 不飽和脂肪酸 である DHAEPA は栄養素として有名である。詳細は 脂肪酸のページ を参照。

  • Fatty acids are long hydrocarbon chains of various length and degrees of unsaturation terminated with carboxylic acid groups (7).

なお、カルボキシル基 carboxyl group はカルボキシ基 carboxy group とも呼ばれる。詳細は 官能基のページ を参照。


広告

脂質の役割

エネルギー源としての脂質

ごく大まかに言うと、生物の主要なエネルギー源は糖質 carbohydrate、タンパク質 protein および脂質 lipid である。1 g あたりに含まれるエネルギーは次のようになっており、脂質のもつエネルギーが一番高い。

糖質

4 kcal/g

タンパク質

4 kcal/g

脂質

9 kcal/g


広告

コメント欄

フォーラムを作ったので、各ページにあるコメント欄のうち、コメントがついていないものは順次消していきます。今後はフォーラムをご利用下さい。管理人に直接質問したい場合は、下のバナーからブログへ移動してコメントをお願いします。

References

  1. Oxford online dictionaries. Web. Link.
  2. Biology online. Web. Link.
  3. Yahoo 知恵袋. Web. Link.
  4. Bosner et al. 1988a. Receptor-like function of heparin in the binding and uptake of neutrallipids. Proc Natl Acad Sci 85, 7438-7442.
  5. Masoro et al. 1964a. Skeletal muscle lipids: I. Analytical method and composition of monkey gastrocnemius and soleus muscles. BBA 84, 493-506.
  6. Homan & Anderson 1998a. Rapid separation and quantitation of combined neutral and polar lipid classes by high-performance liquid chromatography and evaporative light-scattering mass detection. J Chromatogr B 708, 21-26.
  7. Amazon link: ストライヤー生化学: 使っているのは英語の 6 版ですが、日本語の 7 版を紹介しています。参考書のページ にレビューがあります。

  1. Amazon link: 岩波 理化学辞典 第5版: 使っているのは 4 版ですが 5 版を紹介しています。
  2. Amazon link: ハーパー生化学 30版.

参考図書