タウリン: 魚介類の健康成分

aa_carbo_lipid/aa/tau
3-26-2017 updated

  1. 概要: Tau はアミノ酸か?
  2. タウリンの分布
    • 生体内での分布
    • 食品での分布
  3. タウリンの生合成
  4. タウリンの生理機能

広告

概要: Tau はアミノ酸か?

タウリン Tau は図 1 のような構造をもつ物質である。下にあるアミノ酸 amino acid の構造と,まあ似ていると考えられなくもない。

タウリン

アミノ酸の基本構造


アミノ酸とは,分子内に -COOH と -NH2 をもつ化合物の総称 である (1)。R の位置に様々な官能基がつくことによって,アミノ酸の性質が決まる。この定義に照らすと,タウリンはアミノ酸ではないことになる。

しかし,同じく正確にはアミノ酸でないプロリンは「タンパク質を構成する 20 種のアミノ酸」の一種としておいて,但し書きで「正式にはアミノ酸ではない」とされることが多いようである。

プロリン


タウリンをアミノ酸に含める場合 (2) は,「アミノ基 -NH2 が潰れている Pro もアミノ酸なのだから,カルボキシル基 -COOH がスルホン基 -SO 3 に置き換わっていても,まあ広義のアミノ酸ということでいいいだろう」という考え方をしていると思われる。

この場合,スルホン基の結合している炭素が α 炭素とみなされ,タウリンは β アミノ酸の一種ということになる。

タウリンの性状など

IUPAC 名はアミノエタンスルホン酸である (1)。大きい単斜晶系柱状結晶,融点 328 ℃。熱水に可溶,アルコールには不溶。アミノ酸のように,溶液中では両性イオンの形をとり,中性を示す。

ウシ Bos taurus の胆汁中から 1827 年に発見され,名称はギリシャ語の雄牛 Tauros に由来する (2)。


広告

タウリンの分布

体内での分布

ヒトの体内には多量に存在し,体重の 0.1% がタウリンに相当する。基本的にはタンパク質の構成要素にならず,心臓,骨格筋,肝臓,脳,網膜などで存在量が多い (2)。

胆汁や血漿などにも多く存在する (5)。


食品中の分布

タウリンは主に食品として摂取されるが,メチオニン Met やシステイン Cys から合成される経路も存在する。下の表では,とくに記述しない限り単位は mg/100 g 湿重量である。

食品
Tau 含量
コメント
文献
マダイ
230
5
ブリ (血合筋)
673

魚類では血合筋に多く含まれるとともに,心臓,脾臓にも多い傾向がみられる 。ブリ普通筋ではわずか 16 mg/100 g である。

5
マダコ
593
Tau は一般に軟体動物に多い。
5
マガキ
1178
5
クルマエビ
199
5
牛ロース
49
牛レバー 45。魚介類に比べると,畜肉ではかなり少ない。
5
鶏むね肉
14
鶏レバー 129,鶏卵 0。
5

タウリンの生合成

タウリンは Met および Cys から合成され,合成に関わるのは主として脂肪組織 white adipose tissue,肝臓 liver および腎臓 kidney である (7)。


タウリンの生理機能

タウリンの生理機能は多岐にわたる (2)。

> 手術,トラウマ,敗血症 sepsis,ガンなどで血中タウリン濃度が低下する (4I)。
  • 実際に,タウリンのサプリメントはインスリン抵抗性を改善したり,酸化ストレスを軽減したりする。
  • タウリンの代謝に関わる主な臓器は,腸,肝臓,腎臓である。
  • 各臓器での濃度からフラックスを計算し,腸からの Tau release があることを示した論文。

RNA 修飾

Taurin が tRNA の修飾に使われ,その不全が病気と関係するという新しい機能が提唱された (3,6)。


肥満との関係

> 原則として,タウリンの摂取および合成量は 肥満 の程度と逆相関 する (7)。

: 肥満および糖尿病の患者では,血中タウリン量が低い。
: Tau 摂取で血中の炎症マーカーが低下,adiponectin が増える。


コメント欄

コメントをどうぞ! (500 字まで)


このコメント欄は各ページにあるので、いつ管理人がコメントを見ることになるのか分かりません。内容について質問がある場合は、下のリンク先のフォームから質問頂ければ、早めに返信するようにします。


References

  1. 岩波理化学辞典―[電子資料].
  2. 薩 2007a. タウリンの多彩な生理作用と動態. 化学と生物 45, 273-281.
  3. Kirino et al. 2004a. Codon-specific translational defect caused by a wobble modification deficiency in mutant tRNA from a human mitochondrial disease. PNAS 101, 15070-15075.
  4. van Stijn et al. 2012a. Human taurine metabolism: fluxes and fractional extraction rates of the gut, liver, and kidneys. Metabolism 61, 1036-1040.
  5. 食品機能性の科学編集委員会. 食品機能性の科学. 2008.
  6. Suzuki et al. 2002a. Taurine as a constituent of mitochondrial tRNAs: new insights into the functions of taurine and human mitochondrial diseases. EMBO J 21, 6581-6589.
  7. Mukarami 2015a (Review). Role of taurine in the pahogenesis of obesity. Mol Nutr Food Res 59, 1353-1363.