魚介類の健康成分 タウリン: 構造、機能、代謝など

aa_carbo_lipid/aa/tau
2018/04/20 更新

  1. 概要: Tau はアミノ酸か?
  2. タウリンの分布
    • 生体内での分布
    • 食品での分布
  3. タウリンの生合成
  4. タウリンの生理機能

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概要: Tau はアミノ酸か?

タウリン Tau は図 1 のような構造をもつ物質である。下にあるアミノ酸 amino acid の構造と、まあ似ていると考えられなくもない。

タウリン

アミノ酸の基本構造


アミノ酸とは、分子内に -COOH と -NH2 をもつ化合物の総称 である (1)。R の位置に様々な官能基がつくことによって、アミノ酸の性質が決まる。この定義に照らすと、タウリンはアミノ酸ではないことになる。

しかし、同じく正確にはアミノ酸でないプロリンは「タンパク質を構成する 20 種のアミノ酸」の一種としておいて、但し書きで「正式にはアミノ酸ではない」とされることが多いようである。

プロリン


タウリンをアミノ酸に含める場合 (2) は、「アミノ基 -NH2 が潰れている Pro もアミノ酸なのだから、カルボキシル基 -COOH がスルホン基 -SO 3 に置き換わっていても、まあ広義のアミノ酸ということでいいいだろう」という考え方をしていると思われる。

この場合、スルホン基の結合している炭素が α 炭素とみなされ、タウリンは β アミノ酸の一種ということになる。

タウリンの性状など

IUPAC 名はアミノエタンスルホン酸である (1)。大きい単斜晶系柱状結晶、融点 328 ℃。熱水に可溶、アルコールには不溶。アミノ酸のように、溶液中では両性イオンの形をとり、中性を示す。

ウシ Bos taurus の胆汁中から 1827 年に発見され、名称はギリシャ語の雄牛 Tauros に由来する (2)。


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タウリンの分布

体内での分布

ヒトの体内には多量に存在し、体重の 0.1% がタウリンに相当する。基本的にはタンパク質の構成要素にならず、心臓、骨格筋、肝臓、脳、網膜などで存在量が多い (2)。

胆汁や血漿などにも多く存在する (5)。


食品中の分布

タウリンは主に食品として摂取されるが、メチオニン Met やシステイン Cys から合成される経路も存在する。下の表では、とくに記述しない限り単位は mg/100 g 湿重量である。

食品
Tau 含量
コメント
文献
マダイ
230
5
ブリ (血合筋)
673

魚類では血合筋に多く含まれるとともに、心臓、脾臓にも多い傾向がみられる 。ブリ普通筋ではわずか 16 mg/100 g である。

5
マダコ
593
Tau は一般に軟体動物に多い。
5
マガキ
1178
5
クルマエビ
199
5
牛ロース
49
牛レバー 45。魚介類に比べると、畜肉ではかなり少ない。
5
鶏むね肉
14
鶏レバー 129、鶏卵 0。
5

タウリンの生合成

タウリンは Met および Cys から合成され、合成に関わるのは主として脂肪組織 white adipose tissue、肝臓 liver および腎臓 kidney である (7)。


タウリンの生理機能

タウリンの生理機能は多岐にわたる (2)。

> 手術、トラウマ、敗血症 sepsis、ガンなどで血中タウリン濃度が低下する (4I)。
  • 実際に、タウリンのサプリメントはインスリン抵抗性を改善したり、酸化ストレスを軽減したりする。
  • タウリンの代謝に関わる主な臓器は、腸、肝臓、腎臓である。
  • 各臓器での濃度からフラックスを計算し、腸からの Tau release があることを示した論文。

RNA 修飾

Taurin が tRNA の修飾に使われ、その不全が病気と関係するという新しい機能が提唱された (3,6)。


肥満との関係

> 原則として、タウリンの摂取および合成量は 肥満 の程度と逆相関 する (7)。

: 肥満および糖尿病の患者では、血中タウリン量が低い。
: Tau 摂取で血中の炎症マーカーが低下、adiponectin が増える。


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References

  1. Amazon link: 岩波理化学辞典―[電子資料].
  2. 薩 2007a. タウリンの多彩な生理作用と動態. 化学と生物 45, 273-281.
  3. Kirino et al. 2004a. Codon-specific translational defect caused by a wobble modification deficiency in mutant tRNA from a human mitochondrial disease. PNAS 101, 15070-15075.
  4. van Stijn et al. 2012a. Human taurine metabolism: fluxes and fractional extraction rates of the gut, liver, and kidneys. Metabolism 61, 1036-1040.
  5. Amazon link: 食品機能性の科学編集委員会. 食品機能性の科学. 2008.
  6. Suzuki et al. 2002a. Taurine as a constituent of mitochondrial tRNAs: new insights into the functions of taurine and human mitochondrial diseases. EMBO J 21, 6581-6589.
  7. Mukarami 2015a (Review). Role of taurine in the pahogenesis of obesity. Mol Nutr Food Res 59, 1353-1363.